【書評】おすすめの育児書

『マンガで読む 育児のお悩み解決BOOK』(フクチマミ)感想~妊娠中の女性必読の育児書~

投稿日:2014年3月7日 更新日:

イラストレーターのフクチマミさんによる、育児書マンガです。
作者自身の体験だけを描いた育児マンガ(コミックエッセイ)とは違い、育児経験があるママさんたちとワイワイガヤガヤ、ママ友トークを楽しむような雰囲気。

私も子供を産んで「育児書に書いてあることと全然違う…!」と思った人間なので、妊娠中にこの本を読んで予習したかった!
作者や編集者の経験も描かれており「そうそう、そうなのよ!」とうなずく場面や「立場が違うと悩みも違うんだなあ…」と思う場面もあり、勉強になりました。

女性に限らず、出産間近の夫婦、出産後半年以内の夫婦に読んでほしい一冊です。

価格は1300円+税です。
ちょっと高めですが全208Pと厚く、丁寧な作りで読みやすく、読み応えもあります。

●この本のFacebookページがあります。

amazon ★★★★★(4.9) ※レビュー8件
楽天 レビューなし

【内容紹介】

「生まれたらこうなるって教えといてよ、もー!!」の声にお応えした痛快お役立ちマンガです。
育児ストレス解消にもおすすめ!

いざ赤ちゃんが生まれてみると、「育児ってこんななの? 思っていたのと全然違う! 」「もしかして、うちの子だけ? 私だけ?」
そんな悩みや葛藤、ときにはどうしようもないいきどおりや悲しみにかられているママたちも少なくありません。
「生まれる前に教えておいてほしかったのに……」そんなママたちの声を聞き、生まれる前に知っておきたいこと、生まれてからでも絶対に役立つことをぎゅっと詰め込んだマンガが誕生しました。
自らも育児でさんざん悩んだイラストレーターのフクチマミさんが、ベビモママたちの体験を聞き、いろいろな角度から育児の悩みを解決していきます。
「今はこうだけどもうすぐこれは卒業」などと、先の見通しができるのも、この本ならではの魅力。
また、具体的な乗り切りテクニックと同時に、考え方を変えるだけでラクになることもアドバイス。
思わず笑っちゃうエピソードも満載! 読んで笑って育児ストレスを解消してください。

【感想】

編集さんの気合を感じる良い紹介文ですね。
この本のすごいところは読んだ後でamazonの内容紹介の文章に全く嘘が無いと思える点です。
「レビューや内容紹介に期待して買ってもがっかりすること多いんだよな~」と思いつつ購入したら、期待以上の内容で驚きました。

作者のプロフィール

作者のフクチマミさんは1980年神奈川県生まれ。
21歳年上の旦那様と結婚し、2008年(27歳?)に長女・なつのちゃん、2011年(30歳?)に次女・ののかちゃん出産。
現在は4人家族。

●フクチマミさんのWEB SITE

この漫画の特徴

この本は3章で構成されています。

第1章 赤ちゃんのお世話って大変!では、赤ちゃんの生態や接し方のポイントについて。コラム含め約90P。
第2章 「1人で抱え込まない」って!?では、周りの人間に頼ったりお願いする方法について。約39P。
第3章 産後のBODYのお悩みでは、産後の体の変化や自分自身でできるケアの方法について。約26P。

副題「生まれたらこうなる!」…って、教えておいてよ、もー!!の通り、生まれて~1歳になるくらいまでの期間に「知っておきたかった…」話をテーマ別にまとめています。
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私は妊娠してから、育児漫画や育児書を読みふけっておりました。
出産経験がないので不安はあるものの、知識だけは詰め込んで、体験マンガで想像(シュミレーション)もし「赤ちゃんは個人差がある」と分かったつもりでいました。

でも、実際に娘を産んだ後は色々戸惑いました。
ネットで情報を集めるのも難しいし、色々な本を読んで必要な情報を得るような余裕もありませんでした。

そういった経験もあり、「産む前に知っておきたかったこと」がまとまっているこの本は素晴らしいと思います。
企画倒れでなく読んで納得!と太鼓判を押せる出来です。
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生後1年以内の赤ちゃんは個人差が大きいので、色々な人の体験がさらっと読めて参考にしやすいのは嬉しいポイント。
子供の年齢・性別・人数が異なる「十人十色なお母さん」20名と、編集者セキガワさん、フクチマミさんが自身の子育て体験を話します。

ママ友トークのような雰囲気で読めるので楽しくてスラスラ読めちゃいます。
読むことで落ち込んだり難しいと悩むこともありません。
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おススメしたいのは、
・妊娠中のご夫婦
・子供が0歳のご夫婦
・妊娠or出産のお祝い(プレゼント)を贈りたい方

…です。

特に生後間もない時期(産後~3か月くらい)に読むと役立つと思います。
個人的に、産後のプレゼントとして贈っても良いと思います。説教臭くないけれど、知っておくと便利なことは網羅されているので。

逆に、おススメしないのは絵が好みでないという人。
私は好きな絵でしたが、好みは分かれる気がします。

基本的な構成

全てのテーマについて、こういった構成されています。
例として、一番最初に描かれる「新生児」のはなし。

まず、作者のフクチマミさんや編集者・関口さんの体験談が語られます。

新生児期って大変だった…。
例えば「授乳は3時間おき」と言われていたけどもっと短い間隔だった。
哺乳瓶を洗ったりしていると、あっという間に授乳の時間…。
寝れない。休めない。24時間緊張しっぱなし…。
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その話に応える形で、色々な人の「困った体験談」が描かれます。
赤ちゃんが産まれる前に抱えていた「一般的なイメージ」や「何となくの思い込み」と現実のギャップが見えてきます。
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そして、具体的な「現実の様子」が描かれます。

新生児期については
・オムツ替えなどもあり、なんだかんだで授乳は60分くらいかかっちゃう
・赤ちゃんは最初上手に飲めない
・お母さんのおっぱいもあまりでない
・抱っこやオムツ替えにも慣れていないからオタオタしちゃう
…等々。
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現実を伝えるだけでなく、生物的な仕組みやメカニズム、問題に直面した時の対応方法や考え方が描かれます。

新生児期の授乳については、
・赤ちゃんがおっぱいを吸うことでだんだんとお母さんの体の準備が出来てくる
・最初は、赤ちゃんとお母さんが授乳に慣れることが必要

…ということで、時間や経験とともに解決してくれることが示されます。
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また、苦しい時期を乗り越えた経験や考え方のエピソードが添えられます。
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文章で書くと長そうですが、新生児について描かれているのは9P。
内容豊富だけれど漫画なのでサラっと読めるし、自分や赤ちゃんの状態をみながら、どのアドバイスを実践するか選べるのが良いです。

第1章 赤ちゃんのお世話って大変! 約90P

1番ページ数が多い章です。
特に、生まれて1カ月の新生児期の話が多め。

扱われるテーマは、

新生児期

上で説明したような、赤ちゃんが生まれてすぐの時期に知っておきたかったことが描かれます。

マタニティブルー

産後鬱の体験談や、そうなってしまうメカニズムについて説明。
「こういう症状があったら」と自分自身でチェックできる項目や、予防する方法などを紹介。
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「誰かに頼ったり相談することも大切」ということで、助産師さんやベビーシッターにお願いした場合に受けられるケアや費用についても描かれていて便利です。
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寝ない

色々な体験談と共に「寝ない場合に考えられる原因」や「寝かしつけの技」も描かれています。
作者の「どうせすぐに起きると思って眠れない時期があり、軽い不眠症になった」という体験談には私も覚えがある…(せめて横になりましょう…)。
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母乳&ミルク

ミルクを飲ませようとして失敗した話や母乳へのプレッシャーなどの体験談、卒乳までの考え方が描かれます。
体験談を読むと「わかるわかる…」と思い、気持ちが楽になります。
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母乳トラブル

乳腺炎やおっぱいが出ないなど、おっぱいにまつわるトラブルと対策がまとめられています。
こちらで紹介されていたマリエン薬局のハーブティ、私も購入して出が良くなった+乳腺炎は1回もなしでした。 

※12/15追記 ハーブティの効果は実証されていません。
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食べない

5-6か月になると始まる離乳食。
離乳食も全然食べない子とすごく食べる子がいますが、うちは歯が生えてくるまで(7-8ヵ月くらい?)は全然食べる気ありませんでした。
授乳といっしょで「赤ちゃんが食べることに慣れる」までは時間がかかります。
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「赤ちゃんが食べない」ことはある。頭では分かっているのですが、食べないと悲しくなるもので。
その原因が言葉になっていて、納得できました。
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アレルギー

食べ物アレルギーとアトピー性皮膚炎について。
アレルギー以前の基礎知識から解説してくれるので色々納得できました。
「小さい時期から保湿しすぎると自分で保湿する能力が出来ないのでは…」とか「アトピーだから卵は食べない方が…」といったよくある迷信をぶった切ってくれているのがありがたいです。
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泣き止まない

低月齢~1歳すぎてからのイヤイヤ期まで、時期によっての泣き方の違いや悩みを解説。
「赤ちゃんの泣き声には「人間が不快に感じる」周波数が含まれている」とも言われるので、不安になったり不快になるのは当然といえば当然なのですが、疲れている時はこたえるのも事実…。
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発達

自分の子供と他の子供を比べてしまうのは人間の性でしょうか…。
娘が大きくなった現在はそうでもないのですが、生後1年以内の時期は私も比べちゃってたなあ…。
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「0~2歳までの体と心の発達の目安」がついていました。これは便利。
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事故・けが

立った!歩いた!…と喜んでいたら今度は怪我や事故の心配…。
「こういうときはこう対処しよう」という早見表がついています。
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第2章 「1人で抱え込まない」って!? 約39P

誰かに頼ること自体が大変。このコマは核心を突いてます。そうなんですよ!
1人で育児は無理だと思う反面、「頼ることに対する心理的なハードル」は高くて。
考えれば考えるほどに1人で抱え込んでしまい、だんだん「1人でも育児できる」と勘違いし、夫に対する苛立ちが強まるみたいな悪循環…。。
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夫との関係

このテーマはママ友トーク炸裂!な感じでした。
産後クライシス期に読むといいかも。
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「パパスイッチが入らない」「子育てに参加してくれない」ことにイライラするのは共通しているように感じましたが、その対応は十人十色。
当然ながら性格が違うから、対応も変わってくる。色々なパターンが読めるのがいいですね。
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作者のフクチマミさんの場合、育児に協力的でない夫に結婚は失敗だったか…と思いますが、夫をATM扱いしたくない!と一念発起。
「楽しいことはパパが担当」することで約1カ月で夫と娘の関係が変化。
娘4歳の今では父娘ラブラブ…。育児で苦しい時期に夫を育てたフクチさん、えらい。

夫のダメな対応だけでなく、妻側が陥りやすい状態についても描かれていたのは良かった。
「頼る」「甘える」ことに対するネガティブなイメージって何でしょうね…。慣れもあるのかなあ。
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親・親戚・友だちとの関係

こちらもママ友トークが中心の構成。
近くに頼れる人がいない核家族、頼れる人がいる大家族。それぞれに悩みは違うみたいですね…。

「赤ちゃんが生まれて、お隣さんと仲良くなった」という話にはびっくりしましたが、そういうものかもしれない。
家族でも友だちでも、自分が快適に思う距離感で関係を築けるといいなあ。
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第3章 産後のBODYのお悩み 約26P

産後は色々と慌ただしいのに、自分の体も絶不調ですよね…という話。
私も、産んだら元通りに戻るものだと思ってましたね…。血圧も上昇したし会陰は痛いし、腰のあたりも落ち着きませんでした。
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痛い・つらい!!

悪露や後陣痛、会陰切開の傷についての説明。

作者・フクチマミさんの経験談の「産後に出血が止まらなかった時の話」。
病院に電話したら安静にして様子をみるように言われ、ネットで調べた母からも「大丈夫では?」と言われ。
大丈夫かな…?と思いつつ過ごしていたら出血が止まらなくなり、救急搬送…。こ、こわい。

心配すべき悪露の状態や「出血が多いかどうか」を判断する目安などもついていて良かったです。
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セルフケア

自分の体の面倒もみないと!…とは思いつつ、赤ちゃんの面倒で終始してしまうのもまた事実。私も産後に整体に行ったの、1年後だったしな…。

「セルフケア」では、例えば抱っこするとき、座る時、立つときに気を付けるポイントや、症状別の簡単な緩和ケアについて描かれています。
8Pと短いのですが、その分「できること」に絞られていると感じます。
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自分が好きなところ

色々な人の体験談が読めるのがこの作品の良いところですが、作者のフクチマミさんの体験談も良くて。
特に「発達」で描かれたエピソードには一緒に涙しました。

「ネットで調べる」のは、現在子育てをしている人に共通した体験だと思います。
便利だけれど、ネットの情報に振り回されることもあり…。
色々な人に相談することの大切さを感じることが出来ました。
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また、描かれているハードルが低めなのは嬉しい。
「ドツボにはまらない」「つらい想いを軽くする」のを目標にするのであって、完璧とか絶対とか、そんな言葉は一切使わない。

娘が1歳9か月になり一段落の時期している私ですが、2人目が産まれる前にこの本を読めてよかったなあ、と思います。
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細かい話ですが、ページの左側にテーマが印刷されているのがとても便利でした。

感想を書きながら何度も何度も見返しましたが、開きたいテーマを開けるのは良いです。
子育て中のお母さんが読むだけでなく、問題に直面した時に繰り返し使うことを考えている作りだと思いました。
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まとめ

感想の最初にも書きましたが、この本のすごいところは、読んだ後でamazonの内容紹介の文章に全く嘘が無いと思える点です。

役立つ情報が読みやすくまとまっているし、ママ友トークをするような気分で読めてストレス解消になるし、笑える部分もあるし。
細かいところまで気が利いているし、編集さんと作者の熱意を感じる良書でした。

前編にあたる『マンガで読む 妊娠・出産の予習BOOK』も欲しくなるなあ。

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